働く現場で熱中症を防ぐには?

浅川 マコ
研究員

熱中症対策として、多くの職場でこまめな水分補給・休憩が実施されています。

でもほんとにそれだけで十分なの?

そこで、熱中症が発症する前に予防する方法として有効な策を調べてきたよ!

熱中症の発生指標 WBGTについて

この記事を読み進めるにあたって、『WBGT』という言葉を知っておいてください。
WBGTとは、今の作業環境は熱中症の発生がしやすいのか、そのリスクレベルを客観的に判断できる指標のことです。

  1. 気温
  2. 湿度
  3. 輻射熱

3つの要素を用いて熱中症危険度を算出します。例えば、WBGTでは気温30℃湿度65%を超えると熱中症にかかりやすいと判断されます。

熱中症を予防する4ポイント

熱中症危険度を表す3要素(WBGT)を踏まえて、熱中症を防ぐための4つのポイントを説明します。

1.作業時間の短縮・管理

  • 日中の暑い時間を避けた『作業時間の変更』
  • 作業状況に応じた『作業時間の休止・休憩の確保』
  • 『連続作業時間の短縮』
  • 『作業環境の巡視』

これらを実施して、職場での課題認識を続けることが大切です。

2.暑熱環境への順応(暑熱順化)

暑熱順化とはつまり、「暑さに慣れること」です。
暑熱順化を行うことで、次第に血液量や汗の量が増加し、それに合わせて体温の上昇が抑制されていく体質に変化します。

このような体温調節機能の改善のため、日ごろからずっと空調が聞いた部屋にいることは避けましょう
また、運動をして汗をかく習慣をつければ、暑熱順化とともに体力増強にもなり一石二鳥です。

3.こまめな水分・塩分の補給

汗による脱水は本人の自覚以上に起こっています。
そのため、定期的な水分・塩分補給は、自分だけでなく、一緒に働く従業員全員に周知するようにしましょう。
同時に、すぐに水分・塩分補給ができる環境を整えていくことも重要です。

緑茶など利尿作用が高まるカフェインが含まれる飲み物は避け、麦茶やスポーツドリンクで水分補給するようにしてください。

4.服装

  • 汗と熱を素早く拡散できる素材の衣服
  • 風通しの良いデザインの衣服
  • 日射を避ける帽子や日傘

を身に着けることが有効です。
しかし、職場では安全衛生面や作業内容から服装が決められている場合もあります。その場合はよりこまめな休憩と水分・塩分補給を心がけるようにしましょう。

普段の健康管理も大切

性別や年齢、二日酔い、睡眠不足、下痢、風邪気味、朝食未摂取など、その日の体調条件、また、
糖尿病、高血圧、心疾患、肝臓病などの持病、個々人のコンディションによって熱中症発症リスクは異なります。

日常の健康管理を自分自身で意識することはもちろん、管理者は従業員の健康管理にも気を配りましょう。

浅川 マコ
研究員

熱中症は事前条件の把握や、過去の発症記録などを参考にすることで予防できる疾患なの。

作業場や休憩場所の環境(WBGT値)を把握することで、
その日どれだけ対策が必要かがわかるよ

そして何より、職場で熱中症を予防するのに大切なのは『お互いを見守るコミュニケーション』!仲間の様子が少しでも普段と違ったら声をかけてみましょう。